TEI Lite入門 4.1 テキスト区分要素
4章の導入部を訳してから時間があきましたが、TEI Liteのドキュメンテーションの「4.1 テキスト区分要素」です。
過去に訳した部分:右側のコラムにある、[カテゴリー]->[TEILite-Documentation]
要素名につけられたリンクはいまのところ正しく機能していません。翻訳が全部できたらつながります。
ライセンスはGNU General Public License (version 2)。
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TEI Lite: 文書交換のためのコード化:TEI入門―TEI P5 準拠版
ルー・バーナード & C.M. スパーバーグ=マクイーン
(原文)
4.1 テキスト区分要素
散文テキストの本文は、単にひとつづきの段落のつらなりであることもあれば、これらの段落が章・節・項などにまとめられることもあります。それぞれの段落はpタグを使ってタグ付けされます。div要素は、段落のなんらかのまとまりを表します。
div要素のtype属性は、テキスト区分のカテゴリーに、慣用的な名前を与えたり、それらを区別したりするのに使うことができます。属性値として典型的なのは、「book」「chapter」「section」「part」「poem」「song」などです。通常、プロジェクトごとに、そうした属性値のリストを定義し、用法を首尾一貫させることが望ましいでしょう。
div要素には、さらにその中にdiv要素を入れ子状に入れることができます。伝統的な本の構造は、さまざまな単位に階層状に分解することができます。部という単位が章という単位を含み、その下に節という単位が置かれるといった具合にです。div要素の中にdiv要素を入れ子にすることで、こうした本の構造を模すことができます。一般的に、TEIテキストは、こうした単純な階層モデルにしたがいます。
xml:id属性は、ある区分にユニークな識別子を与えるのに使えます。これは、相互参照や注釈のためのリンク付けに利用できます。詳しくは、8 相互参照とリンクを見てください。テキストの主要な構造上の単位すべてに、システマティックなやりかたでxml:id属性を与えると、役にたつことがよくあります。たとえば後でしめすように、節番号を短い作品コードにつづけて記すというようなやりかたがあります。
n属性は(追加的あるいは代替的手段として)短い名前や番号をある区分に与えるために使えます。もしある作品の各部分について、それを示す慣用的な参照法や略記法があるのなら(たとえば聖書のbook/chapter/verseのパターンなど)、n属性の値として記述すべきです。
xml:lang属性は、テキスト区分内の言語を特定するために使うことができます。言語は国際的に定義されたコードで識別されます。詳しくは6.3 外語の単語や表現で説明します。
rend属性には、テキスト区分やその他の要素の(見た目の)表現に関する情報を与えることができます。詳細は、6 強調箇所のマーク付けで述べます。type属性と同様、ありうる属性値をあらかじめ定義しておくことは、プロジェクトにとって有益なことが多いでしょう。ただし、TEI Liteはこれを強要するものではありません。
これら、xml:id、n、xml:lang、rendの4つの属性は、グローバル属性と呼ばれ、すべてのTEIスキーマのすべての要素で許されており、非常に広範に役立つものです。TEI Liteスキームで定義されているその他のグローバル属性については、8.3 特殊なリンクを参照してください。
すべてのxml:id属性の値は、ひとつの文書の中で唯一のものでなければなりません。そうなっていることを確かにするためのシンプルなやりかたは、文書の階層構造を反映させるというものです。たとえば、アダム・スミスの『国富論』の初版は5巻(books)から成り、それぞれの巻が複数の章(chapters)に分けられています。さらに、いくつかの章は部(parts)に分かれます。この構造について、つぎのようにxml:id属性の値を定義することができるでしょう。
<body>
<div xml:id="WN1" n="I" type="book">
<div xml:id="WN101" n="I.1" type="chapter">
<!-- ... -->
</div>
<div xml:id="WN102" n="I.2" type="chapter">
<!-- ... -->
</div>
<!-- ... -->
<div xml:id="WN110" n="I.10" type="chapter">
<div xml:id="WN1101" n="I.10.1" type="part">
<!-- ... -->
</div>
<div xml:id="WN1102" n="I.10.2" type="part">
<!-- ... -->
</div>
</div>
<!-- ... -->
</div>
<div xml:id="WN2" n="II" type="book">
<!-- ... -->
</div>
</body>
あるいは、xml:id属性とn属性に別々のやりかたで番号付けすることもできます。こうした方法は、作品の構造と合致しないような、正準参照法が使われているときに役立つことがよくあります。たとえば、つぎのような多巻ものの小説の例をかんがえてみましょう。この小説では、それぞれの巻が複数の章を含んでおり、章番号は巻ごとにつけられるのではなく、全作品にわたって通し番号がつけられています。このようなとき、以下のような方法を採用することができます。
<body>
<div xml:id="TS01" n="1" type="Volume">
<div xml:id="TS011" n="1" type="Chapter">
<!-- ... -->
</div>
<div xml:id="TS012" n="2">
<!-- ... -->
</div>
</div>
<div xml:id="TS02" n="2" type="Volume">
<div xml:id="TS021" n="3" type="Chapter">
<!-- ... -->
</div>
<div xml:id="TS022" n="4">
<!-- ... -->
</div>
</div>
</body>
この例の作品は2巻もので、それぞれの巻がそれぞれ2章から構成されています。章には1〜4という番号がふられていますが、xml:idの値が与えてくれる追加情報のおかげで、あたかも1.1、1.2、2.1、2.2と番号付けされているかのようにみなすことができます。