デジタル・カメラで文書を複写する 5 ― コンパクト・デジタル・カメラの選びかた

うーん、どうも話題があっちにいったりこっちにいったりでよくないですが、ひさしぶりにデジカメ複写の話をします。今日は出先の資料室でちょっとこまったことがあってかんがえることがあったので、複写目的のコンデジ(「コンパクト・デジタル・カメラ」のことをその筋のひとはこう呼ぶそうです)の選び方についてのお話です。デジ一(「デジタル一眼レフ」のことをその筋のひとはこう呼ぶそうです)のことについてはまったくわかりません(3回くらいしかさわったことありません)。べつにカメラ好きでもないぼくの、複写の道具としてのコンデジの選び方です。


非カメラ好きによるコンデジの選び方トリセツ
※1 光学関係の部分についてはよくわからないので無視します。
※2 どの機種の色調が好きとかそういうこともあまり興味ないので無視します。字さえ読めればいいのだ!*1


ハード面

バッテリが切れたときにレンズが自動的に本体にしまわれるかどうか
使っていないときレンズが本体に格納されるタイプのカメラを沈胴式とよびます。つかっているカメラがこのタイプの場合、バッテリが切れたときにきちんと自動的にレンズがしまわれないと、レンズ部分が出っぱなしになり、持ち運びがあぶなっかしくてしかたなくなります。わたしは今日これでとっても困りました。作業用には主にリコー R8 を使っていますが、リコーさんはこの点改善の余地おおいにありですよ。コンデジは外で利用することが多いのに、出先でレンズむき出しのまま停止してしまったら、ということをちゃんと考えて設計してほしいです。わたしがつかっているもう一台のパナソニック Lumix DMC-FX100 はちゃんとレンズしまってくれます。
充電器とACアダプタが240ボルトまで対応か
100〜240V 対応でないものを使ったことがないですが、もし海外で充電するときにいちいち変圧器をかませないといけなかったりしたらたいへんだろうな、とふと思ったのでここに記すのです。
レリーズ用のアダプタが使えるサイズのものを選ぶ
コンデジでケーブル・レリーズを使うには、アダプタをつかわなければなりません。前に紹介したように、わたしはエツミのレリーズ・ブラケットを使っています。これを使うには、カメラ底面からシャッターボタンまでの長さが 54mm〜73mm でないといけません。カメラにあわせてアダプタのほうを自作するという手もありますから、このサイズ問題はオプショナルですが。
ドット抜けのないものを
超基本的なことではありますが、撮像素子(イメージ・センサ、CCD とか)にドット抜けがないものを選びましょう。ファインダーの液晶のドット抜けはデータには影響がありませんが、作業中にじゃまになるのでないものを選んだほうがいいと思います。どうやってそれを選ぶかというと、買うときに確かめるのです。なので、デジカメは通販ではなくてお店で買うのが正しいと思います。ふつうはお店でお願いすれば確認させてもらえるはずです。液晶のドット抜けは交換の対象外としているメーカーがほとんどのようなので気をつけましょう。撮像素子のドット抜けの確かめ方:レンズを何かで覆って真っ黒の写真をいくつか撮り、同じ場所に白く抜けたところがすべての写真にあれば、それは撮像素子のドット抜けである可能性が高いそうです。白い点のすべてがドット抜けであるわけではありません。ただのノイズである可能性もあります。同じところが白く抜けるというのがポイントです。細かい文字を相手にするので、こうした抜けは避けたいものです。
撮像素子と解像度
画質は解像度だけではなく、撮像素子の面積に大きく依存するそうです。撮像素子が大きくなればなるほど機械の値段もあがります。懐具合と相談しながら、自分に最適なものを選びましょう。こういうことは、大きなカメラ屋さんの一眼レフ売り場の店員さんに詳しくきくのがいいと思います。参考


ソフト面

2秒タイマー
前にも書きましたが、確実にブレない画像を撮るためのテクとして、2秒タイマーを使うというのがあります。コピー・スタンドや三脚をつかっても、シャッターを切ったときの振動はゼロにはなりませんし、複写のときにはどんな微妙な振動も避けたいので、この機能を活用するのがいいと思います。なので、2秒タイマーの機能がついてないカメラはそもそも選択肢に入りません。わたしはそんなカメラを見たことないですけど。
タイマーの設定
カメラの機種によっては、1枚撮るごとにセルフ・タイマー設定をしなければならないものと、一度設定したら変更するまでその設定が変わらないものとあります。当然、後者のほうが作業効率がよくなります。2台持っているカメラのうち、わたしがリコーを複写用のメインにしているのは、Lumix DMC-FX100 ではタイマーの設定を1枚とるごとにやりなおさなければいけないからです。できれば画素数も多い Lumix を使いたいですが、タイマー設定がネックで使えないのです。これさえクリアしてもらえれば。最新機種や上位機種ではどうなっているか気になるので、次回日本に帰ったらチェックしようと思います。
  
最小絞り固定
リコー R8 では絞りを最小にして固定するという選択肢があります。複写のときは全体にピントをあわせたいので、これはいいと思います(Lumix のほうはシャッター・スピードでこれを調整、ということになるのかな?)。
  
ファイル形式
お金さえあれば、RAW 形式で記録できるカメラを選んでもいいかもしれません*2。一般的な安めのコンデジJPEG 形式で画像を保存しますが、高級なクラスのカメラだと RAW (「生」)形式で保存できることが多いです*3。カメラの撮影素子は、わたしたちがシャッターを押すと、まず電気信号としてデータを得ます。この「生」データは「画像」として表示するために加工される必要があります(加工しないと表示もできません)。こうした加工はカメラの内部で行なわれることが多く、一般的には JPEG 形式に変換されることが多いわけです。しかし、このときにどうしてもファイルが圧縮されてしまう*4。ので、マスター・コピーとしては生のデータが保存できたほうがいいのです。生データが保存できていれば、加工しても元のデータの劣化は防げます。わたしはそういう高級コンデジには今は手が出なくていじっていないのですが、RAW 形式を選んだときに撮影したデータをカメラ本体で確認できるのかどうかがとても気になっています。それができないようなら、頻繁に通えない場所にある資料の複写に際しては実用的ではないということになるのかな。いや、高級カメラを買えるくらいの財力があれば、有線か Bluetooth かでパソコンに接続して、そのモニタで画像を確認しながら作業する、というシステムくらい簡単にできるに違いない。確認せねば。日本を出発する前はあまりカメラに興味がなかったので、帰国したらやることがたくさんです。


とくにいらないもの
※といっても、あったらダメというわけではなく、複写にはべつになくてもいいものです。

  • 顔を認識して自動的にそれに焦点をあわせるような機能
  • 水準器内臓みたいな機能(水準器はちゃんとしたのを使う)


こんなところでしょうか。ファイル形式のところでふとかんがえた、作業しながらパソコンにデータを転送し、パソコンのモニタで確認する、というのはできればぜひやってみたいですね。誰かやってるひといないでしょうか。いまわたしは日本にいないので、誰か電気やさんで聞いてきてもらったりしてくれるとうれしいなあ。←〔追記〕聞いてきたので今度書きます。


デジタル・カメラで文書を複写する 1
デジタル・カメラで文書を複写する 2
デジタル・カメラで文書を複写する 3 ←三脚/スタンドが使えない場合
デジタル・カメラで文書を複写する 4 ― コピー・スタンド
デジタル・カメラで文書を複写する 5 ― コンパクト・デジタル・カメラの選びかた ←改訂中
デジタル・カメラで文書を複写する 6 ― 複写キットの見直し
デジタル・カメラで文書を複写する 7 ― アーム・三脚・複写台
デジタル・カメラで文書を複写する 8 ― アーム・三脚・複写台 2
デジタル・カメラで文書を複写する 9 ― 携帯用複写台
デジタル・カメラで文書を複写する 10 ― 携帯用複写台を自作 ←オススメ!!
デジタル・カメラで文書を複写する 11 ― 三脚で複写

*1:どうしてもこだわりたければ、高級コンデジを買って RAW 形式で保存したものを自分で現像処理しましょう。そこまでやる気になったら次はレンズの質とかにこだわるというのが順でしょうけど、わたしは今のところはそこまでこだわってはいません。OCR にかけられる程度の文字が撮影できれば満足なのです。

*2:RAW 形式だと一般に1ファイルあたりが大きくなるので、記憶媒体も大きなものが必要になります。そのため、本体が高価なだけでなく、メモリ・カードやストレージにもお金がかかることを覚悟しなければなりません。でも、それだけの見返りはあると思います。それに、記憶媒体はどんどん安くなってますしね。

*3:なお、RAW 形式という標準規格があるわけではなく、メーカーごとに独自の形式を採用しており、それぞれ互換性もありません。これを加工したりするためにはメーカーが提供するソフトウェアをコンピュータにインストールして、その上で作業しなければなりません。

*4:画像ファイルの圧縮については、すごくわかりやすい説明を denshikA さんがされていますので、ごらんになってはいかがでしょうか。