Hacking the Academy

アメリカのジョージメイスン大学の、歴史・ニュー・メディア研究所のプロジェクト、Hacking the Academy がいいなというお話。


アイディア自体はそんなに突飛なものではありません。コンピュータの技術と学問や高等教育の話題で、5月21日から28日の1週間のあいだに論文を書いて投稿してくれれば、その中からいいものを選んで本にしますよ、という企画(ぼくは自分の論文でいそがしいのでスルーしましたけど)。ミシガン大学出版局からの出版も決まっていて、200ほどの著者から300以上の投稿があったそうです。いまはできあがった論文へのコメントをみんながつける段階で、そのコメントによってはかられた影響力と論文の質で出版されるものを選ぶそうです。そこまでびっくりするような技術を使っているわけでもなく、ありがちといえばありがちな企画ではあります。


しかし、注目すべきなのはこれを歴史研究者が中心になってやっているということです。編集者の Tom ScheinfeldtDan Cohen はジョージメイスン大の歴史・ニューメディア研究所の歴史研究者。ふたりとも Twitter でさかんにチュンチュンつぶやいています。ダン・コーエンのほうは、故ロイ・ローゼンツヴァイクとともに『デジタル・ヒストリー』という、歴史研究の徒のための入門書を書いています。ウェブ上でも読めます。インドにいるときにこれを翻訳しようと思って、半分くらいやったのですが、今は論文書いているのでお怠け中(誰か援軍求む)。


話がそれましたが、歴史・ニューメディア研究所では、Zotero をはじめオープンなツールをたくさん世に出しているし、なにより工学系のひとと歴史研究者がいっしょに研究している。しかも、今回の企画のように、かなりノリが軽い。


いいなあ・・・。日本の歴史研究の環境(一部のステキなひとたちを除く)では、資料をXMLでコード化してます、みたいなこと言うと、「XMLって何?」とか言われてしまふ。基本的に、図書館やアーカイヴの仕事は自分たちのヘルプだと勘違いしてるひと多いし(ちがうって)、文書館に行くこと自体に意味があるのであってデジタル化には反対とかいうラッダイトなひとも多いし。でも、ラッダイトなひとにかぎって、「ワードでうまく文章が作れない」とか文句を言うんだ。ラッダイトなんだから文句言う前に壊そうよ。