オックスフォード「超短い入門」シリーズの印象に残ったところ


待ち時間その他の細切れ時間は有効活用したいものです。本を読めばいいと思うのですが、分厚い本しかもってなかったような日には軽い気持ちで読めないし、計算が必要なものだったりしたら紙とペンも出さなきゃならないし。あと、わたしの場合は分厚い本はそもそもスキャンしてパソコンに入れてしまっていることが多いので、細切れ時間にさっと出せるようにはなっていないというのもあります。


そこで、最近はオックスフォード大出版局のA Very Short Introductionシリーズを一冊かばんに入れておくようになりました。数分単位の細切れ時間でも1章くらいすぐ読めてしまうんですもの。それに、どんどん新刊がでるのでいろいろ手を出せるんですもの。


さすがオックスフォード、執筆陣がはばひろいですね。スーザン・ブラックモアやアラン・ホブソンからテリー・イーグルトン(!)まで。これは、日本語では岩波書店が翻訳シリーズを出してるようですね。原シリーズのタイトルは謙虚な「超短い入門」だけど翻訳シリーズでは大上段の「一冊でわかる」です。もちろん一冊ではわかりませんが、安くて軽くて入門する敷居を低くしてくれるので、いいのではないかと思います。原著はもっと小さくて薄くて1000円以下におさえているのだから、翻訳シリーズも文庫にしてくれればいいのに。インドではなんと300円くらいで買えてしまうので、ついたくさん買ってしまいます。


そこで、最近読んだなかで印象に残ったところ。


Evolution: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

Evolution: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)


「進化」入門。これは日本語訳もされていますね。要点がすっきりまとまっていて良かったですよ。独学者はこれを読んでからワトソンの教科書にいけばいいのではないでしょうか(たぶん)。


Consciousness: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

Consciousness: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)


デネット派によるデネット派のための「意識」入門。すべての問題の落としどころがデネットに!ここまで徹底すると実にすがすがしい。しかし、デネット批判も含めて書いてくれていると入門者にはもっとよかったと思います。ドーキンス、ピンカー、デネット周辺のひとたちは、一般向けに書くのがうまいので、いちどファンになってしまうと彼らの難点がわかりにくくなるというのがちょっとまずいと思います。それから、カルトとか宗教とかの部分(ここが著者のもともとの専門だというのはわかるのですが)はなくてもいいと思いました。とはいっても、わたしはデネット好きなのでたのしく読めました。


Memory: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

Memory: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)


臨床のお医者さんでもある著者の「記憶」入門。こういう自然科学の記憶研究とほぼ断絶した人文系の「記憶論」とはいったい何なんだろうと思わされました。このままでは絶対にいけないよ。文献紹介であげられていた次の本を読もうと思います。


The Oxford Handbook Of Memory (Oxford Handbook Series)

The Oxford Handbook Of Memory (Oxford Handbook Series)


そして、つぎにいただくのは、「Brain」。おもしろいといいな。あと、新刊の「Writing and Script」がとっても気になります。


The Brain: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

The Brain: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

Writing and Script: A Very Short Introduction

Writing and Script: A Very Short Introduction